【葬送のフリーレン 1期 7話】英語セリフで学ぶ「言葉の魔力」とは?

セリフで学ぶ英語
この記事は約33分で読めます。
※本記事で使用している画像はすべて、アニメ『葬送のフリーレン』(第7話)より引用しています。セリフの英語学習および解説を目的としており、著作権はすべて©アベツカサ・山田鐘人/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会に帰属します。
  1. ▶ あらすじ:言葉がつなぐもの、壊すもの
  2. 💬 セリフ #1 – 「本物」が存在しない伝説
      1. 大魔法使い、フランメの魔道書ですか。フランメの著書に本物なしって言われていてね。今まで偽物の魔道書しか見つかっていないんだ。これが今までで一番出来のいい偽物かな。
  3. 💬 セリフ #2 – 魔法があっても、思いやりは必要?
      1. そうじゃなくて、魔法で馬車を向こう側に運んだり出来るだろ。それだと後の人が困るでしょってフェルンは言ってた。自分勝手だね、シュタルクは。お前にだけは言われたくねえよ。
  4. 💬 セリフ #3 – 敬語よりも、対等な旅仲間として
      1. シュタルク、さっさとこっち手伝って。早く。そういうのじゃなくてさ。さん付けとか君付けとか色々あるでしょ。
  5. 💬 セリフ #4 – 永く生きる種族の、静かな終わり
      1. 私だって同族を見たのは数えるほどしかないよ。私たちエルフは長くは生きるけど、恋愛感情や生殖本能みたいなものがのきなみ欠落しているからね。緩やかに絶滅していってるんだよ。
  6. 💬 セリフ #5 – 君が孤独にならないように
      1. でも、一番の理由は。君が未来でひとりぼっちにならないようにするためかな。なにそれ?おとぎ話じゃない。僕たちは、確かに実在したんだ。
  7. 💬 セリフ #6 – 言葉の裏にある「本性」
      1. 私たちを憎んでいるこの街の住民でさえ、私を見るときは、怯えながらも人を見る目をしている。だが、君のその目はまるで、猛獣でも見ているかのような目だ。実際にそうでしょ。お前たち魔族は人の声真似をするだけの、言葉の通じない猛獣だ。
  8. 💬 セリフ #7 – 話し合いは、通じる相手にしか意味がない
      1. 話し合いで解決するならそれに越したことはねえじゃねえか。解決しないから無駄なんだよ。魔族は人喰いの化け物だ。そいつらが人類と同じ言葉を使う理由を考えたことはある?
  9. 💬 セリフ #8 – 「お母さん」という言葉の魔法
      1. お前たちは孤独を当たり前とする生物で、家族という概念すら存在しない。なのに、何でお母さんなんて言葉を使う?だって、殺せなくなるでしょ。まるで魔法のような、素敵な言葉。
  10. 💬 セリフ #9 – 人情も、利用する価値がある
      1. グラナト伯爵は我々に恨みがあるようだが、人情に厚いお方のようだ。取り入れれば和睦と称して、この街の防護結界を解除させることも可能だろう。あとはアウラ様の軍勢がこの街を滅ぼしてくださる。
  11. 💬 セリフ #10 – 障害を排除すれば、計画は完成する
      1. リュグナー様の見立てによれば、この少女が我らの唯一の障害。こいつを始末すれば、あとはグラナト伯爵を懐中するだけでこの街は容易に落ちる。言っておくけど私強いよ。俺よりもか?断頭台のアウラよりも。
  12. 📝 まとめ:言葉と記憶が残すもの

▶ あらすじ:言葉がつなぐもの、壊すもの

A mysterious grimoire /
謎めいた魔道書があり、
an old tale of Flamme, /
古の魔法使いフランメの伝説があり、
and the question of what is real /
そして「本物とは何か」という問いが
surfaces during a monster-hunting quest. /
魔物討伐の旅の中で浮かび上がる。

As they help travelers pass through a damaged road, /
崩れた道を旅人が通れるよう助けながら、
the group reflects on magic, memory, and meaning. /
一行は魔法、記憶、意味について思いを巡らせる。

In a town preparing for its Liberation Festival, /
解放祭を控えた町では、
the past is remembered with joy and ceremony. /
過去が喜びと儀式をもって思い起こされる。

But when demons arrive as envoys, /
しかし魔族が使者として現れたとき、
the boundary between diplomacy and deception blurs. /
外交と欺瞞の境界が曖昧になっていく。

Only Frieren sees their true nature /
その本質を見抜いていたのはフリーレンだけで、
and is left to question /
彼女は問いかけることになる。
whether words are a bridge— /
言葉は橋なのか、
or merely a clever trap. /
それともただの巧妙な罠なのか。

▶ あらすじ語彙解説

grimoire /ˈɡrɪmwɑːr/(名詞):魔道書
→ 魔法の知識や呪文が記された特別な本を指します。
envoy /ˈenvɔɪ/(名詞):使者、特使
→ 交渉のために派遣される代表者。外交やファンタジーでよく登場します。
deception /dɪˈsɛpʃən/(名詞):欺瞞、だまし
→ 意図的に誤解させる行為。「嘘の説得力」として使われます。
festival /ˈfɛstɪvəl/(名詞):祭り、祝祭
→ 地域や文化の記念行事。祝福や記憶を共有する機会です。
reflection /rɪˈflɛkʃən/(名詞):省察、思索
→ 深く考えること、振り返ること。内面的な熟考に使われます。
boundary /ˈbaʊndəri/(名詞):境界、限界
→ 「物理的・概念的な分かれ目」を指します。対立や意味の違いに使われます。

💬 セリフ #1 – 「本物」が存在しない伝説

大魔法使い、フランメの魔道書ですか。フランメの著書に本物なしって言われていてね。今まで偽物の魔道書しか見つかっていないんだ。これが今までで一番出来のいい偽物かな。

It’s a grimoire written by Flamme the legendary mage?
No. Books supposedly attributed to Flamme are never real.
Every tome uncovered so far has been a fabrication.
This is probably the best imitation I’ve come across over the years, though.

🔤語彙解説

grimoire /ˈɡrɪmwɑːr/(名詞):魔道書
→ 魔法の知識や呪文が記された特別な本を指します。
attribute /əˈtrɪbjuːt/(動詞):〜の作とする、帰属させる
→ 「be attributed to」で「〜の作とされる」という受け身表現が定番です。
tome /toʊm/(名詞):大冊、分厚い本
→ 専門的な内容が書かれた重厚な本を意味します。格式ばった言い方です。
fabrication /ˌfæbrɪˈkeɪʃən/(名詞):偽造、でっち上げ
→ 本当であるかのように作られた「ウソ」や「偽物」に使われます。
imitation /ˌɪmɪˈteɪʃən/(名詞):模造品、真似事
→ 本物によく似せて作られたもの。「出来のいい偽物」というニュアンスにも使えます。
legendary /ˈlɛdʒəndəri/(形容詞):伝説的な、非常に有名な
→ 実在があいまいなほど有名な人や物語に使われます。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

Books supposedly attributed to Flamme are never real.
→ 「be attributed to」は「〜の作とされる」。ここでは受け身構文で「フランメの作とされる本」という意味になる。
Every tome uncovered so far has been a fabrication.
→ 「uncovered」は過去分詞で前の名詞「tome」を修飾。「今まで発見された本はすべて偽物だった」という現在完了受動。
This is probably the best imitation I’ve come across over the years.
→ 「I’ve come across」は現在完了。「今まで出会った中で最も~だ」という比較構文と合わせて使われている。

📘スラッシュリーディング訳

It’s a grimoire /
それは魔道書なの?

written by Flamme the legendary mage?
伝説の魔法使いフランメが書いたという?

No. /Books supposedly attributed to Flamme /
いや、/フランメの著書とされる本は
are never real. /
どれも本物ではないんだ。

Every tome uncovered so far /
これまでに見つかった本はすべて
has been a fabrication. /
偽物だった。

This is probably the best imitation /
これはたぶん最もよくできた模造品かな
I’ve come across over the years, though.
これまで見てきた中では。

💬 セリフ #2 – 魔法があっても、思いやりは必要?

そうじゃなくて、魔法で馬車を向こう側に運んだり出来るだろ。それだと後の人が困るでしょってフェルンは言ってた。自分勝手だね、シュタルクは。お前にだけは言われたくねえよ。

No, that’s not the issue. This would go faster if you just used your magic to move his cart.
But what of future travelers? They’d be stuck here. That’s what Fern said.
We wouldn’t want to be selfish, now would we?
That’s rich, coming from you.

🔤語彙解説

issue /ˈɪʃuː/(名詞):問題、争点
→ 論点や話題の中心となる問題を意味し、日常でもビジネスでも頻出。
future travelers /ˈfjuːtʃər ˈtrævələrz/
(名詞句):後から来る旅人
→ 「将来の旅人たち」という意味で、他人への配慮を示す表現。
selfish /ˈsɛlfɪʃ/(形容詞):自分勝手な、利己的な
→ 他人のことを考えず自分の利益ばかり考える態度を指します。
that’s rich /ðæts rɪtʃ/(表現):よく言うよ、図々しいね
→ 自分のことを棚に上げて発言した相手に対する皮肉の決まり文句です。
coming from you /ˈkʌmɪŋ frəm juː/(表現):お前が言うな
→ 「それを言う資格のないお前が言うのか」という嫌味な返し。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

This would go faster if you just used your magic.
→ 仮定法過去で「もし魔法を使えばもっと早く進むのに」という非現実の仮定を表している。
But what of future travelers?
→ 「What of 〜?」は「〜はどうなるの?」という省略形の疑問文構文。
That’s what Fern said.
→ 「what」は関係代名詞で名詞節を導き、「それがフェルンの言ったこと」という意味。
We wouldn’t want to be selfish, now would we?
→ 否定文+付加疑問で「自分勝手にはなりたくないよね?」という共感を促す言い方。
That’s rich, coming from you.
→ 「That’s rich」は皮肉、「coming from you」は「それを言うのが君とはね」の意味で嫌味。

📘スラッシュリーディング訳

No, that’s not the issue. /
いや、それは問題じゃない。

This would go faster /
もっと早く進むんだ
if you just used your magic /
君が魔法で
to move his cart. /
あの馬車を動かしてくれれば

But what of future travelers? /
でも後から来る旅人たちはどうするの?

They’d be stuck here. /
彼らはここで立ち往生してしまう。

That’s what Fern said. /
それはフェルンの言っていたこと。

We wouldn’t want to be selfish, /
自分勝手にはなりたくないだろ?
now would we? /
そう思わないか?

That’s rich, /
よく言うよ、
coming from you. /
お前が言うなって話だろ。

💬 セリフ #3 – 敬語よりも、対等な旅仲間として

シュタルク、さっさとこっち手伝って。早く。そういうのじゃなくてさ。さん付けとか君付けとか色々あるでしょ。

Stark. You’re wasting everyone’s time.
Help me.
Rude! I just meant that if we’re gonna go on this journey together,
you can drop the formalities. We can talk to each other casually.

🔤語彙解説

waste one’s time /weɪst wʌnz taɪm/(表現):時間を無駄にする
→ 「人の貴重な時間を無駄にする」というニュアンスで注意や叱責に使われる。
formalities /fɔːrˈmælɪtiz/(名詞):形式、礼儀的な作法
→ 「形式ばった言い方」や「礼儀的なやり取り」を指し、やや堅い表現。
drop /drɑːp/(動詞):やめる、落とす
→ この文では「使わない」「やめる」の意味で、「敬語をやめる」という用法。
casually /ˈkæʒuəli/(副詞):くだけて、気軽に
→ 「カジュアルな口調で」「気を使わずに話す」という意味。
journey /ˈdʒɜːrni/(名詞):旅、道のり
→ 比喩的にも使える語で、物理的な旅だけでなく「人生の道のり」にも使われる。
meant /ment/(動詞):意図した(meanの過去形)
→ 相手の誤解を訂正するときによく使う語。「そういう意味じゃない」というニュアンスに便利。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

You’re wasting everyone’s time.
→ 現在進行形で「今まさに時間を無駄にしている」という非難のニュアンスを表す。
Help me.
→ 命令文の省略構文。「You」を省いて直接的に指示している。
I just meant that if we’re gonna go on this journey together
→ 「meant that」は「〜という意味だった」。仮定法的なif文を導く節内の現在進行形「we’re gonna(= going to)」は口語表現。
you can drop the formalities.
→ 「drop the formalities」は「形式ばった言い方をやめる」という口語表現。
We can talk to each other casually.
→ 「talk to each other」で「お互いに話す」、「casually」で「気軽に」の意味になる。

📘スラッシュリーディング訳

Stark. /
シュタルク。
You’re wasting everyone’s time. /
みんなの時間を無駄にしてるんだよ。
Help me. /
手伝って。

Rude! /
失礼なやつ!
I just meant /
私が言いたかったのは
that if we’re gonna go on this journey together, /
一緒に旅をするならってこと
you can drop the formalities. /
敬語とか形式ばった話し方はやめていいよ。
We can talk to each other casually. /
気軽に話そうってこと。

💬 セリフ #4 – 永く生きる種族の、静かな終わり

私だって同族を見たのは数えるほどしかないよ。私たちエルフは長くは生きるけど、恋愛感情や生殖本能みたいなものがのきなみ欠落しているからね。緩やかに絶滅していってるんだよ。

In fact, I’ve only ever met a handful of other elves in all my travels.
We may live a long time, but we’ve scattered to the winds.
Of course, it doesn’t help that we don’t have romantic urges or reproductive instincts.
We’re experiencing a quiet extinction.

🔤語彙解説

a handful of /ə ˈhændfʊl əv/(表現):ごく少数の、わずかな
→ 数えるほどしかいない、というニュアンスで「ごくわずかな数」を表す表現。
scatter /ˈskætər/(動詞):散らばる、四散する
→ 物や人が広く散らばること。比喩的に「集団の崩壊」も示す。
urge /ɜːrdʒ/(名詞):衝動、強い欲求
→ 感情的・本能的に「〜したい」という強い欲求を指す。
reproductive /ˌriːprəˈdʌktɪv/(形容詞):生殖の、繁殖の
→ 「reproduce(再生・繁殖する)」の形容詞形で、生物学的用語にも使われる。
instinct /ˈɪnstɪŋkt/(名詞):本能、直感
→ 考える前に自然と働く行動傾向。動物の行動や人の深層心理に使われる。
extinction /ɪkˈstɪŋkʃən/(名詞):絶滅、消滅
→ 種や文化などが完全になくなることを表す語。「quiet extinction」は比喩的表現。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

I’ve only ever met a handful of other elves
→ 「have met」は現在完了、「only ever」は強調の副詞で「これまでにほんの少ししか」の意味を作る。
we’ve scattered to the winds
→ 「scatter to the winds」で「四散する」「バラバラになる」というイディオム的表現。
it doesn’t help that we don’t have romantic urges or reproductive instincts
→ 「it doesn’t help that…」は「〜なのは問題を悪化させる」という意味の定型表現。
romantic urges or reproductive instincts
→ 同格で「恋愛感情や生殖本能」という本能的感情を並列して説明している。
We’re experiencing a quiet extinction.
→ 「experience」は現在進行形で「〜という状態にある」、直訳せずに「静かな絶滅を迎えつつある」と意訳されることが多い。

📘スラッシュリーディング訳

In fact, I’ve only ever met /
実のところ、私は今までに会ったことがあるのは
a handful of other elves /
他のエルフはほんのわずかだけ

We may live a long time, /
私たちは長く生きるけれど
but we’ve scattered to the winds. /
でも四方に散らばってしまっているんだ

Of course, it doesn’t help /
もちろん、よくないのは
that we don’t have romantic urges /
私たちには恋愛感情もなくて
or reproductive instincts. /
生殖本能もないこと

We’re experiencing a quiet extinction. /
私たちは静かに絶滅しつつあるんだ

💬 セリフ #5 – 君が孤独にならないように

でも、一番の理由は。君が未来でひとりぼっちにならないようにするためかな。なにそれ?おとぎ話じゃない。僕たちは、確かに実在したんだ。

Though, there is a greater reason.
When we three are gone, maybe our statues will keep you from feeling lonely.
Come again?
You’ll know we existed. That we aren’t just fairy tales,
but people who stood beside you.

🔤語彙解説

greater /ˈɡreɪtər/(形容詞):より大きな、より重要な
→ 「great」の比較級で、重要性や価値がより高いことを表します。
statue /ˈstætʃuː/(名詞):像、彫像
→ 石や金属などで作られた人や動物の姿をかたどった像のこと。記念や象徴として用いられます。
keep A from B /kiːp ə frəm 〜/(表現):AがBしないようにする
→ 「〜を防ぐ」「〜させないようにする」という定番構文。
fairy tale /ˈfeəri teɪl/(名詞):おとぎ話、作り話
→ 架空の物語やフィクション、または現実離れした話を指します。
exist /ɪɡˈzɪst/(動詞):存在する、実在する
→ 「be動詞」よりも強調された存在感を表す語。抽象的な「実在」にも使われます。
stand beside /stænd bɪˈsaɪd/(表現):〜のそばに立つ、支える
→ 物理的にも比喩的にも「味方として寄り添う」ことを表すやさしい表現。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

Though, there is a greater reason.
→ 「Though」で文頭に逆接を置きつつ、文の強調として単文が独立している構造。
maybe our statues will keep you from feeling lonely.
→ 「keep A from B」で「AがBしないようにする」、ここでは「君が寂しさを感じないようにする」意味。
Come again?
→ 「え?」や「なんですって?」というカジュアルな聞き返し表現。
you’ll know we existed
→ 「we existed」は過去形で「私たちが存在していた」と強調された実在の表現。
people who stood beside you
→ 関係代名詞「who」が「people」を修飾。「そばにいてくれた人たち」という意味になる。

📘スラッシュリーディング訳

Though, there is a greater reason. /
でも、もっと大きな理由があるんだ

When we three are gone, /
僕たち3人がいなくなったとき、
maybe our statues will keep you from feeling lonely. /
君がひとりぼっちにならないように、像が寄り添ってくれるかもしれない

Come again? /
なにそれ?

You’ll know we existed. /
君は、僕たちが実在していたことを知るだろう
That we aren’t just fairy tales, /
僕たちはただのおとぎ話なんかじゃない
but people who stood beside you. /
君のそばにいた人間なんだ

💬 セリフ #6 – 言葉の裏にある「本性」

私たちを憎んでいるこの街の住民でさえ、私を見るときは、怯えながらも人を見る目をしている。だが、君のその目はまるで、猛獣でも見ているかのような目だ。実際にそうでしょ。お前たち魔族は人の声真似をするだけの、言葉の通じない猛獣だ。

I know how the townsfolk feel. They tremble at the sight of me.
Loathe my existence. But despite that, they still view me as a person.
Not you. Whenever you look at my face, you see only a wild beast that should be put down.
And is that not what you are?
Demons are simply monsters who have learned human speech. You only communicate with lies.

🔤語彙解説

tremble /ˈtrɛmbəl/(動詞):震える、おびえる
→ 恐怖や寒さで体が小さく震える様子を表します。心の動揺にも使えます。
loathe /loʊð/(動詞):ひどく嫌う、憎む
→ 感情的な嫌悪を表す強い語。「hate」よりも強烈な印象があります。
wild beast /waɪld biːst/(名詞):野獣、猛獣
→ 手に負えない危険な動物を指す語で、しばしば比喩的に人を表します。
put down /pʊt daʊn/(句動詞):殺処分する、抑える
→ ここでは「危険な動物を殺す」という意味の婉曲表現です。
communicate /kəˈmjuːnɪkeɪt/(動詞):意思疎通する、伝える
→ 思いや情報を伝達する行為を指し、言語だけでなく感情や態度でも可能です。
lie /laɪ/(名詞/動詞):うそ/うそをつく
→ 意図的に事実を偽ること。「a lie」=名詞、「to lie」=動詞。魔族の本質を示すキーワード。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

They tremble at the sight of me.
→ 「tremble at 〜」で「〜におびえる」。前置詞「at」は「〜を見て反応する」ニュアンス。
But despite that, they still view me as a person.
→ 「despite that」は「それにもかかわらず」。逆接の副詞句で文頭に置く。
you see only a wild beast that should be put down.
→ 関係代名詞「that」が「beast」を修飾し、「殺処分されるべき獣」という意味になる。
Demons are simply monsters who have learned human speech.
→ 「who have learned」が関係詞節で「学んだ魔族」を説明。不気味さを強調する構文。
You only communicate with lies.
→ 「only communicate with lies」で「うそだけで会話する」という、存在の否定を表す強い構文。

📘スラッシュリーディング訳

I know how the townsfolk feel. /
私はこの街の人々の気持ちがわかる

They tremble at the sight of me. /
彼らは私を見ると震える
Loathe my existence. /
私の存在を憎んでいる

But despite that, /
それでも、
they still view me as a person. /
彼らは私を「人間」として見ている

Not you. /
でも君は違う
Whenever you look at my face, /
君が私の顔を見るたび、
you see only a wild beast /
ただの猛獣を見るような目をしている
that should be put down. /
そしてそれは殺されるべきものとして見ている

And is that not what you are? /
それこそが君なのでは?

Demons are simply monsters /
魔族とはただの化け物だ
who have learned human speech. /
人間の言葉を学んだだけのな

You only communicate with lies. /
お前たちはうそでしか会話をしない

💬 セリフ #7 – 話し合いは、通じる相手にしか意味がない

話し合いで解決するならそれに越したことはねえじゃねえか。解決しないから無駄なんだよ。魔族は人喰いの化け物だ。そいつらが人類と同じ言葉を使う理由を考えたことはある?

Wouldn’t the best option be to stop fighting and start talking their problems out?
No. Nothing will be resolved that way.
Demons are beasts who seek to devour.
Have you ever wondered why those monsters chose to speak the same language as humans?

🔤語彙解説

resolve /rɪˈzɑːlv/(動詞):解決する
→ 問題や対立を収束させるときによく使われるフォーマルな語です。
devour /dɪˈvaʊər/(動詞):むさぼり食う、貪欲に食べる
→ 野生動物が餌をがつがつ食べる様子や、人間の貪欲な行動にも使われます。
beast /biːst/(名詞):獣、猛獣
→ 危険で理性のない存在を表す言葉。しばしば比喩的に人間にも使われます。
language /ˈlæŋɡwɪdʒ/(名詞):言語
→ 単なる言葉の集合ではなく、文化や思考の表現手段を含む深い意味があります。
wonder /ˈwʌndər/(動詞):不思議に思う、考える
→ 「Have you ever wondered why〜?」は「なぜ〜なのか考えたことがある?」の定番表現。
option /ˈɑːpʃən/(名詞):選択肢、可能性
→ 何かを選ぶときの「手段」「道」を指し、柔らかい印象を与える語です。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

Wouldn’t the best option be to stop fighting and start talking their problems out?
→ 仮定法的な婉曲疑問形で「〜するのが一番いいんじゃない?」という提案。to不定詞は名詞句「the best option」を補う。
Nothing will be resolved that way.
→ 「that way」は「その方法で」という副詞句。「will be resolved」は受動態で「解決される」の意。
Demons are beasts who seek to devour.
→ 関係詞「who」が「beasts」を修飾。「devour」は目的語が省略された他動詞で「食らう対象」が暗示されている。
Have you ever wondered why〜?
→ 「Have you ever wondered」が現在完了疑問文で、「why節」が目的語となる構文。頻出定型。
chose to speak the same language as humans
→ 「chose to 動詞」は「〜することを選んだ」。「the same language as〜」で「〜と同じ言語」という比較構文。

📘スラッシュリーディング訳

Wouldn’t the best option be /
一番いい選択肢は〜じゃないか
to stop fighting /
戦いをやめて
and start talking their problems out? /
話し合いで問題を解決することだ

No. /
いや
Nothing will be resolved that way. /
そんな方法では何も解決しない

Demons are beasts /
魔族は獣だ
who seek to devour. /
人を喰らおうとする

Have you ever wondered /
考えたことがあるか
why those monsters /
なぜあの化け物たちが
chose to speak /
話すことを選んだのか
the same language as humans? /
人間と同じ言語を

💬 セリフ #8 – 「お母さん」という言葉の魔法

お前たちは孤独を当たり前とする生物で、家族という概念すら存在しない。なのに、何でお母さんなんて言葉を使う?だって、殺せなくなるでしょ。まるで魔法のような、素敵な言葉。

That makes you ruthless, solitary creatures. Lone wolves with no concept of what family means.
Explain. Why would you call out to a mother
you’ve never known? It’s simple. That word stops humans.
It keeps them from murdering us. Isn’t that magical?

🔤語彙解説

ruthless /ˈruːθləs/(形容詞):冷酷な、情け容赦ない
→ 同情や迷いなく残酷なことをする性質を表す語。敵や悪役の描写によく使われます。
solitary /ˈsɑːlətɛri/(形容詞):孤独な、単独で生きる
→ 他者との関係を持たずに生きること。野生動物や孤高の人間像によく使われます。
concept /ˈkɑːnsept/(名詞):概念、考え方
→ 抽象的なアイデアや認識の枠組みを指す言葉。論理や文化に関連します。
call out to /kɔːl aʊt tuː/(句動詞):〜に呼びかける
→ 声を出して誰かの注意を引こうとする動作。感情的な場面でよく使われます。
murder /ˈmɜːrdər/(動詞):殺す、殺害する
→ 一般的に「意図的な殺人」を指し、法的・感情的に重い語。
magical /ˈmædʒɪkəl/(形容詞):魔法のような、不思議な力のある
→ 魔法そのものだけでなく、「魅力的な・不思議な」もの全般に使えます。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

That makes you ruthless, solitary creatures.
→ 「That makes you + 形容詞 + 名詞」で「あなたを〜な存在にしている」という構文。使役+補語のパターン。
Lone wolves with no concept of what family means.
→ 「with + 名詞 + of〜」の形で、「〜という概念を持たない」補足説明を加えている。
Why would you call out to a mother you’ve never known?
→ 仮定法の疑問形。「would」は非現実的・皮肉的な問いかけ。「you’ve never known」は現在完了。
That word stops humans.
→ 「stop + 目的語」で「〜を止める」。「that word」が主語になっている倒置のないシンプル構文。
Isn’t that magical?
→ 「Isn’t that〜?」は同意を求めるレトリック疑問文。話し相手に強調を促す。

📘スラッシュリーディング訳

That makes you ruthless, solitary creatures. /
それが君たちを / 冷酷で孤独な存在にしているんだ

Lone wolves /
孤独なオオカミのような者たち
with no concept /
何の概念も持たず
of what family means. /
家族とは何かという

Explain. /
説明してみろ
Why would you call out /
なぜ呼びかけたんだ
to a mother /
母親という存在に
you’ve never known? /
一度も知らなかったくせに

It’s simple. /
理由は簡単さ
That word stops humans. /
その言葉は人間の手を止める

It keeps them /
それは人間を
from murdering us. /
僕たちを殺すのを止めさせる

Isn’t that magical? /
それってまるで魔法みたいだろ?

💬 セリフ #9 – 人情も、利用する価値がある

グラナト伯爵は我々に恨みがあるようだが、人情に厚いお方のようだ。取り入れれば和睦と称して、この街の防護結界を解除させることも可能だろう。あとはアウラ様の軍勢がこの街を滅ぼしてくださる。

Graf Granat resents us, but he is also an empathetic man. And that’s a flaw we can wield against him.
I aim to win his trust. And if I do, I’ll ask him to lower the town’s defensive barrier as a show of good faith.
Then Lady Aura’s forces will raze this meddlesome town and feast.

🔤語彙解説

resent /rɪˈzent/(動詞):恨む、憤慨する
→ 不公平だと感じて心の中で怒りを抱くこと。静かな怒りのニュアンスがある。
empathetic /ˌempəˈθetɪk/(形容詞):感情移入できる、思いやりのある
→ 他人の気持ちに共感できる性質。ポジティブな人間性としてよく使われる。
wield /wiːld/(動詞):(力・武器などを)使う、操る
→ 通常は剣や権力など「強力なものを振るう」という意味で使われる。
defensive barrier /dɪˈfensɪv ˈbæriər/(名詞):防御障壁、防護結界
→ 攻撃から守るための物理的・魔法的な防御線。ファンタジーでは結界として頻出。
raze /reɪz/(動詞):完全に破壊する、壊滅させる
→ 建物や都市などを「跡形もなく破壊する」ときに使う強い語。
meddlesome /ˈmedlsəm/(形容詞):おせっかいな、干渉的な
→ 他人のことに余計な口を出す様子を批判的に表す語。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

Graf Granat resents us, but he is also an empathetic man.
→ 「resent」は感情動詞で「人に対して怒りを抱く」。接続詞「but」で逆説的に人物像を描いている。
that’s a flaw we can wield against him.
→ 「flaw」は弱点・欠点で、「wield against」で「〜に対して利用する」という目的語付きの構文。
I aim to win his trust.
→ 「aim to + 動詞」は「〜を目指す」という意志の強い表現。
ask him to lower the town’s defensive barrier
→ 「ask + 人 + to 動詞」の形で「〜してくれるよう頼む」。目的語が2つある典型的構文。
as a show of good faith.
→ 「as a show of〜」は「〜の証として」。抽象名詞を慣用句として使った定番表現。
will raze this meddlesome town and feast.
→ 「raze and feast」は並列動詞で、「破壊してから食らう」という戦略の描写。

📘スラッシュリーディング訳

Graf Granat resents us, /
グラナト伯爵は私たちを恨んでいるが、
but he is also an empathetic man. /
同時に、人情に厚い男でもある

And that’s a flaw /
そしてそれは弱点だ
we can wield against him. /
我々が彼に対して利用できる

I aim to win his trust. /
私は彼の信頼を得るつもりだ

And if I do, /
もしそれが叶えば
I’ll ask him to lower /
彼に頼むつもりだ
the town’s defensive barrier /
この街の防護結界を解除するように
as a show of good faith. /
善意の証として

Then Lady Aura’s forces /
そのときアウラ様の軍勢が
will raze this meddlesome town /
このおせっかいな街を滅ぼし
and feast. /
好き放題に食らうだろう

💬 セリフ #10 – 障害を排除すれば、計画は完成する

リュグナー様の見立てによれば、この少女が我らの唯一の障害。こいつを始末すれば、あとはグラナト伯爵を懐中するだけでこの街は容易に落ちる。言っておくけど私強いよ。俺よりもか?断頭台のアウラよりも。

According to Lord Lugner, this girl is the only obstacle standing in our way.
If I dispose of her now, and we get Graf Granat to trust us, this town will crumble.
I should warn you that I am fairly strong.
Stronger than me?
Stronger even than Aura the Guillotine.

🔤語彙解説

obstacle /ˈɑːbstəkl/(名詞):障害、妨げ
→ 物理的・精神的に「道をふさぐもの」。問題や敵などにも使える。
dispose of /dɪˈspəʊz əv/(表現):〜を処分する、始末する
→ 敵を倒す、片づける、という意味で物騒な場面でも使われる定番句。
crumble /ˈkrʌmbl/(動詞):崩れる、崩壊する
→ 建物や組織などが「脆く壊れていく」様子を表す。比喩にも使いやすい語。
warn /wɔːrn/(動詞):警告する、注意を促す
→ 危険や重要なことを事前に伝えるときに使う基本動詞。
fairly /ˈferli/(副詞):かなり、相当に
→ 「very」ほど強くないが、控えめに自信を示すときに使う。
guillotine /ˈɡɪlətiːn/(名詞):ギロチン、断頭台
→ 歴史的処刑器具の名称で、比喩的に「冷酷な存在」を表すこともある。

🧠文法・構文・訳しにくい点の解説

According to Lord Lugner, this girl is the only obstacle standing in our way.
→ 「According to 〜」は「〜によれば」。主語+現在分詞「obstacle standing」で「立ちふさがる障害」という形容詞句。
If I dispose of her now, and we get Graf Granat to trust us, this town will crumble.
→ 「If 〜, and 〜, then 〜」の構文。2つの条件がそろえば結末が起こるという未来条件文。
I should warn you that I am fairly strong.
→ 「should + 動詞」で「〜しておくべき」。that以下が内容を補足する名詞節。
Stronger than me? / Stronger even than Aura the Guillotine.
→ 比較構文「stronger than A」に強調語「even」が挿入され、「アウラよりもさらに強い」という強い対比。

📘スラッシュリーディング訳

According to Lord Lugner, /
リュグナー様によれば、
this girl is /
この少女が
the only obstacle /
唯一の障害だ
standing in our way. /
我々の行く手をふさぐ

If I dispose of her now, /
もし今この子を始末できれば、
and we get Graf Granat to trust us, /
そしてグラナト伯爵を味方につけられれば、
this town will crumble. /
この街は簡単に落ちる

I should warn you /
言っておくけど
that I am fairly strong. /
私はかなり強いよ

Stronger than me? /
俺よりもか?
Stronger even than Aura the Guillotine. /
断頭台のアウラよりも強いってのか

📝 まとめ:言葉と記憶が残すもの

Words can be bridges /
言葉は人と人をつなぐ橋になることもある。

or sharp blades. /
あるいは鋭い刃にもなる。

The demons speak like humans /
魔族たちは人間のように話すが、
only to deceive. /
それは欺くためにすぎない。

Frieren sees through /
フリーレンは見抜いている。
the emptiness behind their words. /
言葉の裏にある虚しさを。

Yet in a statue /
だが一方で、像に込められた
left behind by a friend, /
仲間の想いは、
she finds comfort. /
彼女の心を少し温めてくれる。

Memories last, /
記憶は残る。
even when those who made them /
たとえそれを刻んだ人が
are gone. /
いなくなったとしても。

▶ 重要語句

deceive /dɪˈsiːv/(動詞):だます、欺く
→ 故意に相手を誤解させるときに使う基本語です。
emptiness /ˈɛmptinəs/(名詞):空虚、むなしさ
→ 見た目は満ちていても中身がない状態を表します。
statue /ˈstætʃuː/(名詞):彫像、像
→ 人物の記念や象徴として造られる立体物です。
comfort /ˈkʌmfərt/(名詞):安心感、慰め
→ 心を落ち着け、温かい気持ちにさせてくれるもの。
remain /rɪˈmeɪn/(動詞):残る、存続する
→ 誰かや何かが去った後も、そこに存在し続けること。
concept /ˈkɒnsɛpt/(名詞):概念、考え
→ 抽象的な意味づけや思想を言語で捉えるときの語です。

タイトルとURLをコピーしました