
あらすじ:英語で読む再出発と心の距離
Frieren and Fern /
フリーレンとフェルンは /
set off on their journey together /
共に旅立つ。
after saying goodbye to Heiter. /
ハイターに別れを告げたあとで。
Their destination /
ふたりの目的地は、
is a place where rare grimoires are kept /
珍しい魔導書が保管されている場所であり、
and trials await them. /
そこでは試練が彼女たちを待っている。
Along the way, /
旅の途中で、
they stop in a village /
ふたりはある村に立ち寄る。
where people speak of the hero Himmel. /
そこでは人々が勇者ヒンメルの話をしていた。
Frieren begins to realize /
フリーレンは徐々に気づき始める、
how little she understood /
自分がどれほど
about Himmel’s emotions and humanity. /
ヒンメルの感情や人間性を理解していなかったかを。
Fern quietly watches /
フェルンは静かに見守る、
as Frieren reflects on her past /
過去を振り返るフリーレンの姿を。
and slowly opens up emotionally. /
そして少しずつ感情を表に出すようになる様子を。
Their journey is no longer just about magic, /
彼女たちの旅は、もはや魔法のためだけのものではない。
but about understanding others /
他者を理解し、
and preserving memories /
記憶を守り続けることへと
that would otherwise be forgotten. /
忘れられてしまうはずだった記憶を。
🔤 語彙解説
grimoire /ˈɡrɪm.wɑːr/(名詞):魔導書
→ 魔法や呪文に関する知識が記された書物で、ファンタジーに頻出する専門的な語です。
trial /ˈtraɪ.əl/(名詞):試練、困難
→ 精神的または肉体的に乗り越えるべき難題や、人格や能力を試す状況を表します。
emotion /ɪˈməʊ.ʃən/(名詞):感情
→ 喜怒哀楽などの内面的な気持ちを総称する語で、心理描写などで頻繁に使われます。
reflect /rɪˈflekt/(動詞):振り返る、内省する
→ 自分の過去の経験や感情を心の中で思い返して考える行為を表します。
preserve /prɪˈzɜːv/(動詞):守る、保存する
→ 大切なものが失われないように維持することで、文化や自然、記憶などに使われます。
humanity /hjuːˈmæn.ə.ti/(名詞):人間らしさ、人間性
→ 思いやりや感受性といった、人間に特有の温かい内面の性質を表す抽象的な語です。
セリフ1:顔を見ればわかる ― フェルンの鋭い勘
これ、私に何か隠している時の顔だ。フリーレン様との付き合いは長い。こういう時はろくなことがない。決まって、余計な物を買ってくるんだ。
Great. That’s the face she makes when she’s hiding something from me.
I’ve known Mistress Frieren for a long time.
Nothing good happens when she makes that face.
She’s plotting to buy something we don’t need.
🔤 語彙解説
plot /plɒt/(動詞):たくらむ、企む
→ 秘密裏に何かを計画することを意味し、悪意がなくても使える幅広い語です。
hide /haɪd/(動詞):隠す、隠れる
→ 物や感情、情報を他人の目から見えなくする動作を指します。
nothing good /ˈnʌθ.ɪŋ ɡʊd/(表現):ろくなことがない
→ 何か悪いことが起こりそうな予感や、不吉な結果を示唆する口語表現です。
face /feɪs/(名詞):顔、表情
→ 顔の部位だけでなく、その人の感情や気持ちを表す表情としても使われます。
know /nəʊ/(動詞):知っている、親しい
→ 知識として知るだけでなく、人と深い関係性がある場合にも用いられます。
we don’t need /wiː dəʊnt niːd/(表現):不要なもの
→ 「私たちにとって必要ではない」として、物事を拒否するやわらかい言い方です。
🧩 文法・構文解説
Great. That’s the face she makes when she’s hiding something from me.
“That’s the face she makes when…” は「〜するときに彼女が見せる顔」という構文で、”Great.” は皮肉として使われている。
I’ve known Mistress Frieren for a long time.
“I have known” は現在完了形で、「ずっと以前から今まで」続いている関係を表している。
Nothing good happens when she makes that face.
“Nothing good” が主語で、「良いことは何も起きない」という否定的表現。”when…” は条件節。
She’s plotting to buy something we don’t need.
“plot to do” は「〜しようとたくらむ」の意味で、”something we don’t need” は関係詞節で「必要のないもの」。
📘 スラッシュリーディング訳
Great. /
やれやれ。
That’s the face /
あれは表情だ
she makes /
彼女が見せる
when she’s hiding something from me. /
私に何かを隠しているときの。
I’ve known Mistress Frieren /
私はフリーレン様を知っている
for a long time. /
長い付き合いだから。
Nothing good happens /
ろくなことは起きない
when she makes that face. /
彼女があの顔をしているときには。
She’s plotting /
彼女は企んでいる
to buy something /
何かを買おうと
we don’t need. /
私たちには不要なものを。
セリフ2:初めて見る顔 ― フリーレンの「悩み」
え、何その顔?私、フリーレン様のあんなに悩んでる顔、見たことないんだけど。
Huh?! What’s that face?
In all these years, I’ve never seen Mistress Frieren look so troubled before.
🔤 語彙解説
huh /hʌ/(間投詞):えっ?
→ 驚き・困惑・戸惑いなどを表すカジュアルな反応語で、日本語の「え?」に相当します。
troubled /ˈtrʌb.əld/(形容詞):悩んでいる、不安そうな
→ 心に葛藤や不安を抱えていて、落ち着かない様子を示す語です。
in all these years /ɪn ɔːl ðiːz jɪəz/(表現):これまでの長い年月の中で
→ 過去から現在までの長い期間を強調する表現で、感情的な文脈によく使われます。
never /ˈnev.ər/(副詞):一度も〜ない
→ 経験や事実に対して完全否定を示し、現在完了形とよく組み合わされます。
look /lʊk/(動詞):〜のように見える
→ 外見や印象を通して主観的に何かを感じ取るときに使われる動詞です。
before /bɪˈfɔːr/(副詞):以前に、これまでに
→ 経験や出来事が過去に存在したかどうかを問う場面でよく用いられます。
🧩 文法・構文解説
Huh?! What’s that face?
“What’s that face?” は直訳すると「その顔は何?」だが、驚きや違和感を表す口語表現で「何その顔?」という意味。
In all these years, I’ve never seen Mistress Frieren look so troubled before.
“have never seen A B” は「AがBするのを見たことがない」という現在完了形。ここでは “Mistress Frieren look” の目的語説明型(SVOC)をとっている。
📘 スラッシュリーディング訳
Huh?! /
えっ?!
What’s that face? /
何その顔?
In all these years, /
これまでずっと一緒にいて
I’ve never seen Mistress Frieren /
私はフリーレン様のことを一度も見たことがない
look so troubled before. /
あんなに悩んでいるような姿は。
セリフ3:心の距離 ― わかり合う努力
何年一緒に旅をしていると思っているんだ。なんとなく、わかるさ。私は、みんなのこと何もわからない。なら、知ってもらえるように頑張るとするかな。
You travel with someone for years, and you pick up on things.
I can just tell with you.
I can’t tell what any of you are thinking.
Then we should put in more effort so you can get to know us better.
🔤 語彙解説
pick up on /pɪk ʌp ɒn/(表現):気づく、察する
→ 言葉にされていない感情や空気を読み取り、細かな違和感に反応する表現です。
tell /tel/(動詞):わかる、見分ける
→ 「can tell」で判断や理解ができることを示し、知覚や経験に基づいた認識を表します。
effort /ˈef.ət/(名詞):努力
→ 目標や成果のために意図的に力を注ぐ行為で、継続的な取り組みを含みます。
get to know /ɡet tə nəʊ/(表現):〜を知るようになる
→ 関係を深めながら、相手の性格や背景を時間をかけて理解することを意味します。
any of you /ˈɛ.ni əv juː/(表現):あなたたちの誰か
→ 否定文で使うと「誰一人〜ない」の強い否定を含み、文脈によって皮肉にもなります。
better /ˈbet.ər/(副詞):よりよく
→ 技術・理解・関係性などが今より改善・向上していることを示す比較表現です。
🧩 文法・構文解説
You travel with someone for years, and you pick up on things.
“pick up on” は「〜に気づく・察する」の意味の口語表現。”for years” により長期間を示す。
I can just tell with you.
“just tell” は「なんとなくわかる」のニュアンスで、”with you” は「君については」という対象を表している。
I can’t tell what any of you are thinking.
“what any of you are thinking” は名詞節で “tell” の目的語。”any of you” で「君たちの誰が何を考えているか」すらわからないという強調。
Then we should put in more effort so you can get to know us better.
“put in effort” は「努力する」。“so you can get to know us better” は目的を表す結果の副詞節。
📘 スラッシュリーディング訳
You travel with someone for years, /
何年も誰かと旅をすれば、
and you pick up on things. /
なんとなくわかるようになるんだ。
I can just tell with you. /
君のことは、なんとなくわかるんだよ。
I can’t tell /
私はわからない
what any of you are thinking. /
君たちが何を考えているのか、誰一人として。
Then we should put in more effort /
なら、私たちがもっと努力しよう
so you can get to know us better. /
君が私たちをもっとよく知れるように。
セリフ4:伝わらないから、伝える ― フェルンの素直な気持ち
フリーレン様は、どうしようもない程に鈍い方のようなので、はっきりと伝えます。あなたが私を知ろうとしてくれたことが、たまらなくうれしいのです。知ろうとしただけなのに?フリーレン様は本当に人の感情がわかっていませんね。
Very well, and because you’re hopelessly dense when it comes to these things, allow me to be clear.
I am overjoyed that you’re trying to get to know me.
That is a gift in itself.
Simply trying means that much?
Maybe we should find you a spell for understanding people’s feelings.
🔤 語彙解説
hopelessly /ˈhəʊp.ləs.li/(副詞):どうしようもなく、救いようがなく
→ 状況や性格が極端に悪く、改善や解決が不可能に思えるときに使われます。
dense /dens/(形容詞):鈍感な
→ 冗談や気持ちに気づかず、察しの悪い人を皮肉っぽく表す口語的な表現です。
overjoyed /ˌəʊ.vəˈdʒɔɪd/(形容詞):とてもうれしい、感激している
→ 喜びがあふれて抑えられないような感情を表し、「happy」よりも強い語です。
gift /ɡɪft/(名詞):贈り物、喜び
→ 物だけでなく、優しさや思いやりの行為も「gift」として表現されます。
simply /ˈsɪm.pli/(副詞):単に、ただ
→ 「それだけで十分」「余計な理由なしに」という意味で使われ、強調の役割もあります。
spell /spel/(名詞):呪文、魔法
→ 特別な言葉や儀式としての魔法を表し、比喩的に魅力や感動を表現することもあります。
🧩 文法・構文解説
Very well, and because you’re hopelessly dense when it comes to these things, allow me to be clear.
“hopelessly dense” は「救いようがないほど鈍い」という口語表現。”when it comes to” は「〜に関しては」。丁寧ながらもストレートな文。
I am overjoyed that you’re trying to get to know me.
“overjoyed that…” は「〜ということに非常に喜んでいる」構文で、”get to know” は「知るようになる・理解し合う」の意味。
That is a gift in itself.
“in itself” は「それ自体で」という意味の副詞句。”gift” は文字どおりの贈り物でなく「貴重なもの・ありがたいこと」の比喩。
Simply trying means that much?
“mean that much” は「そんなに大きな意味を持つの?」という驚きを含む問い。”simply trying” が主語。
Maybe we should find you a spell for understanding people’s feelings.
“should find you a spell” は「君のために呪文を見つけるべきかもしれない」という仮提案。”for understanding…” で目的が続く。
📘 スラッシュリーディング訳
Very well, /
よろしいですか、
and because you’re hopelessly dense /
あなたはどうしようもなく鈍いので
when it comes to these things, /
こういうことに関しては、
allow me to be clear. /
はっきりと言わせていただきます。
I am overjoyed /
私はとても嬉しいのです
that you’re trying to get to know me. /
あなたが私を知ろうとしてくれたことが。
That is a gift in itself. /
それ自体が、私にとっての贈り物です。
Simply trying /
ただ知ろうとするだけで
means that much? /
そんなに価値があるの?
Maybe we should find you a spell /
あなたには魔法が必要かもしれませんね
for understanding people’s feelings. /
人の気持ちを理解するための。
セリフ5:風化する前に ― 旅に込めた静かな願い
ところでフリーレン様、この旅って何か目的はあるんですか?特にないよ。魔法収集の趣味の旅だからね。でも、できる限りはヒンメルたちとの冒険の痕跡をたどっていきたいかな。風化する前にね。
Tell me the truth, Mistress.
Does our journey have a notable purpose this time?
Not especially.
Hopefully, we’ll be able to find some decent spells, though.
That, and whenever possible, I’d like to retrace the adventures I had with Himmel and the others.
🔤 語彙解説
notable /ˈnəʊ.tə.bəl/(形容詞):注目すべき、特別な
→ 他と比べて際立っていたり、記憶に残るような特徴を持つ対象を表します。
hopefully /ˈhəʊp.fəl.i/(副詞):うまくいけば、願わくば
→ 実現を願っている気持ちをやわらかく表す語で、控えめな希望や期待に使われます。
decent /ˈdiː.sənt/(形容詞):まともな、良質な
→ 完璧ではないが十分に満足できる水準で、失礼にならない程度の肯定に使われます。
retrace /rɪˈtreɪs/(動詞):(足跡・道筋を)たどる
→ 以前に通った場所や行動をもう一度たどって確認・再体験することを意味します。
adventure /ədˈven.tʃər/(名詞):冒険、冒険の旅
→ 危険や予測不能な状況を含んだ刺激的な体験や旅のことを指します。
purpose /ˈpɜː.pəs/(名詞):目的、意図
→ 行動や計画の背後にある動機・目標を意味し、真剣な意味合いを持つ語です。。
🧩 文法・構文解説
Tell me the truth, Mistress.
“Tell me the truth” は「正直に言ってください」という決まり文句。”Mistress” は敬称で、フォーマルな呼びかけ。
Does our journey have a notable purpose this time?
“Does our journey have…” の形で疑問文を作っており、”notable purpose” は「目立った/特筆すべき目的」。”this time” によって過去との違いを示している。
Not especially.
省略された形で “It doesn’t, especially.” の意。”特にないよ” という口語的な返答表現。
Hopefully, we’ll be able to find some decent spells, though.
“Hopefully” は文頭で「うまくいけば/願わくば」を意味し、”we’ll be able to” は未来の可能性を示している。”though” で逆説的に補足を加える。
That, and whenever possible, I’d like to retrace the adventures I had with Himmel and the others.
“That” は前文の内容(呪文探索)を指し、”and whenever possible” は「できる限り」の条件を追加。”retrace the adventures” で「冒険の足跡をたどる」という意味。
📘 スラッシュリーディング訳
Tell me the truth, Mistress. /
正直に教えてください、フリーレン様。
Does our journey /
私たちの旅には
have a notable purpose this time? /
今回は特別な目的があるのですか?
Not especially. /
特にないよ。
Hopefully, /
うまくいけば、
we’ll be able to find /
見つけられるといいな
some decent spells, though. /
そこそこ良い魔法でも。
That, and whenever possible, /
それと、できるかぎり、
I’d like to retrace /
たどっていきたいんだ
the adventures I had /
かつて体験した冒険を
with Himmel and the others. /
ヒンメルたちと一緒に。