
あらすじ:英語で読む託された想いと師弟の始まり
Frieren visits Heiter, /
フリーレンはハイターを訪ねる。
a former companion from the hero party, /
かつての勇者パーティーの仲間で、
who now lives quietly in the countryside /
今は田舎で静かに暮らしている
with a young girl named Fern. /
フェルンという少女とともに。
Fern is an orphan /
フェルンは孤児であり、
who was taken in and raised by Heiter /
ハイターに引き取られ育てられた
after losing her parents. /
両親を失ったあとに。
Heiter asks Frieren /
ハイターはフリーレンに頼む。
to take Fern as her apprentice, /
フェルンを弟子にしてくれと。
believing the girl has magical potential /
彼女には魔法の才能があり、
and needs a mentor to guide her. /
導いてくれる師が必要だと信じて。
Frieren is hesitant at first, /
フリーレンは最初、ためらうが、
but after spending time with Fern /
フェルンと時間を過ごすうちに、
and seeing Heiter’s declining health, /
ハイターの体調の悪化を目の当たりにして、
she changes her mind. /
考えを改める。
After Heiter peacefully passes away, /
ハイターが穏やかに亡くなったあと、
Frieren and Fern hold a funeral /
フリーレンとフェルンは葬儀を行い、
and say goodbye to their old friend. /
古き友に別れを告げる。
Together, they set off /
ふたりは一緒に旅に出る。
on a new journey /
新たな旅へ。
not just to explore the world, /
それはただ世界を巡るだけでなく、
but to learn what it means /
「人を知る」とは何かを学ぶための、
to truly connect with others. /
本当のつながりを見つける旅でもある。
💡 語彙解説
orphan /ˈɔːr.fən/(名詞):孤児
→ 両親を亡くし、保護者のいない子どもを指す言葉で、物語では感情的な背景としてよく使われます。
apprentice /əˈpren.tɪs/(名詞):弟子、見習い
→ 技術や知識を学ぶために師匠のもとで修行する立場の人を意味します。
seclusion /sɪˈkluː.ʒən/(名詞):隠遁、隔離された生活
→ 他人との接触を避けて静かに暮らす様子を表し、修道士や隠者などの生活に使われます。
mentor /ˈmen.tɔːr/(名詞):指導者、助言者
→ 知識や経験に基づいて助言や指導を行う立場の人で、教育やフィクションでも一般的な語です。
hesitant /ˈhez.ɪ.tənt/(形容詞):ためらっている、躊躇している
→ 判断や行動に迷いがあり、自信を持って決めきれない心理状態を表します。
decline /dɪˈklaɪn/(動詞):衰える、下り坂になる
→ 能力や状況が徐々に悪化・低下していく過程を指し、経済や体調などに広く使われます。
セリフ1:魔法の基本を学ぶ ― フリーレンの冷静な指導
さっきは途中で魔法が離散してしまったね。魔力の量と、打ち出す力が足りないことを示している。それは一朝一夕でどうにかなることじゃない。
Earlier, your magic dissipated before it reached its target.
That tells me your levels of mana and your firing strength are both lacking.
These are not issues that one can fix overnight.
🔤 語彙解説
dissipate /ˈdɪs.ɪ.peɪt/(動詞):消える、分散する
→ エネルギーや魔法などが消えて広がってしまう様子を表します。
mana /ˈmɑː.nə/(名詞):魔力、精神的エネルギー
→ ファンタジー作品でよく使われる「魔法の源」のことです。
firing /ˈfaɪə.rɪŋ/(名詞):発射、打ち出すこと
→ 銃や魔法などを「打ち出す」行為に使われます。
lacking /ˈlæk.ɪŋ/(形容詞):不足している
→ 必要なものが足りていない状態を意味します。
overnight /ˌəʊ.vəˈnaɪt/(副詞):一晩で、急に
→ 短時間ですぐに、という意味の副詞です。
issue /ˈɪʃ.uː/(名詞):問題、課題
→ 解決が必要なこと、トラブルや課題全般を指します。
🧩 文法・構文解説
That tells me ~
→ 「that」は直前の内容全体を受ける指示語で、「~を私に教える・示す」という主語+動詞+目的語(SVO)の基本構文です。
are both lacking
→ 「both A and B」が主語、「are lacking」が述語で、「両方が~を欠いている」という意味の受動的ニュアンスのある現在進行形表現です。
overnight
→ 直訳は「一晩で」だが、ここでは「急激に・短期間で」という比喩的な副詞用法として使われています。
📘 スラッシュリーディング訳
Earlier, /
さっきは、
your magic dissipated /
あなたの魔法が消えてしまった
before it reached its target. /
それが目標に届く前に。
That tells me /
それは私に教えてくれる
your levels of mana /
あなたの魔力量と
and your firing strength /
打ち出す力が
are both lacking. /
どちらも足りていないということを。
These are not issues /
これらは問題ではない
that one can fix overnight. /
一夜で解決できるような。
セリフ2:焦りの中の決意 ― フェルンの強い想い
それはいずれ必ずできることだ。今は。いずれではダメなのです。いずれでは、ハイター様が死んでしまう。
I have no doubt you’ll achieve it eventually. Right now.
It cannot be “eventually.” Huh?
When “eventually” comes… Master Heiter will have passed away.
🔤 語彙解説
achieve /əˈtʃiːv/(動詞):達成する
→ 努力や困難を乗り越えて目標を成し遂げるときに使われる語です。
eventually /ɪˈven.tʃu.ə.li/(副詞):いずれ、最終的に
→ 長い時間や過程を経た末に何かが起こることを表します。
doubt /daʊt/(名詞):疑い、不安
→ 確信が持てない状態を表し、「no doubt」は強い肯定の意になります。
pass away /pæs əˈweɪ/(表現):亡くなる
→ 「die」の婉曲表現で、丁寧で感情に配慮した言い回しです。
cannot /ˈkæn.ɒt/(助動詞):〜できない、〜してはいけない
→ 能力・許可・論理的な否定などを意味する強い否定の助動詞です。
master /ˈmɑː.stər/(名詞):師匠、先生
→ 専門技能を極めた人への敬称で、武道や魔法の文脈によく使われます。
🧩 文法・構文解説
I have no doubt (that) ~
→ 「no doubt」は名詞句で強い確信を表し、「~を疑っていない」という意味の現在完了形による断定的表現です。
It cannot be ‘eventually.’
→ 「It is ~」を否定形・強調語順で使い、「“いずれ”という考え方自体が許されない」と強い拒否の感情を表現しています。
will have passed away
→ 未来完了形で「その未来時点にはすでに亡くなっている」という、未来から過去を振り返る視点の表現です。
📘 スラッシュリーディング訳
I have no doubt /
私はまったく疑っていない
you’ll achieve it eventually. /
あなたがそれをいずれ達成することを。
Right now. /
今はまだ、だけど。
It cannot be “eventually.” /
「いずれ」ではダメなのです。
Huh? /
えっ?
When “eventually” comes… /
「いずれ」が来たときには…
Master Heiter will have passed away. /
ハイター様はもう亡くなっているのです。
セリフ3:記憶は生きている ― ハイターの静かな願い
私がこのまま死んだら、彼から学んだ勇気や意思や友情や、大切な思い出までこの世からなくなってしまうのではないかと。あなたの中にも大切な思い出があるとすれば、死ぬのはもったいないと思います。
If I sat and died in silence,
all I learned about friendship, strength of will, and courage…
All the precious memories we had made, they would vanish like they had never been.
If there is even one precious memory tucked within the walls of your mind,
then I think it would be a waste for you to die.
🔤 語彙解説
in silence /ɪn ˈsaɪ.ləns/(表現):静かに、沈黙のうちに
→ 音を立てずに物事が進む様子を表し、静寂や内面的な強さを含意する表現です。
strength of will /streŋkθ əv wɪl/(表現):意思の強さ
→ 困難に屈せず耐える内面的な力を意味し、精神的な芯の強さを示します。
vanish /ˈvæn.ɪʃ/(動詞):消える、見えなくなる
→ 一瞬で姿を消す、跡形もなく消滅するという強いニュアンスを持つ語です。
tuck /tʌk/(動詞):しまい込む、押し込む
→ 端を折り込んだり布や物を優しく中に入れるイメージの動詞です。
precious /ˈpreʃ.əs/(形容詞):大切な、かけがえのない
→ 感情的・価値的に非常に重要で、失いたくないものを表します。
waste /weɪst/(名詞):無駄、浪費
→ 時間・資源・努力などが効果を発揮せずに失われることを指します。
🧩 文法・構文解説
It’s true. I can barely detect her presence.
“barely detect” は「かろうじて感知できる」という否定的な副詞+動詞の組み合わせ。”her presence” は「彼女の気配」で、魔力の探知を表す。
Her control over her mana is exceptional.
“control over ~” は「~に対する支配・操作」。”exceptional” は「卓越した」「並外れた」という形容詞で、評価の高さを表す。
How much could she have studied at such a young age?
“could have studied” は完了形を伴う仮定的表現で「どれほど勉強してきたのだろうか」。”at such a young age” は「これほど若い年齢で」。
Master Heiter said, once I’m able to blast a hole in that rock, I’ll be a proper mage.
“once I’m able to ~” は「~できるようになったら」という条件を表す副詞節。”blast a hole” は「穴をあける」という物理的な行動を意味する口語表現。”I’ll be a proper mage” は「一人前の魔法使いになる」と未来の達成目標を表している。
📘 スラッシュリーディング訳
If I sat and died in silence, /
もし私が静かに座って死んだなら、
all I learned about friendship, /
友情について学んだすべて、
strength of will, and courage… /
意思の強さや勇気…
All the precious memories we had made, /
私たちが作ってきた大切な思い出はすべて、
they would vanish /
消えてしまうでしょう
like they had never been. /
まるで最初から存在しなかったかのように。
If there is even one precious memory /
たとえたったひとつでも大切な記憶があるなら、
tucked within the walls of your mind, /
あなたの心の奥にしまわれているなら、
then I think it would be a waste /
それなら私は、もったいないと思います
for you to die. /
あなたが死んでしまうなんて。
セリフ4:恩返しのかたち ― フェルンの自立と感謝
魔法使いでもなんでもいい。今は一人で生きていく術を身につけることが私の恩返しなのです。救ってよかったと、もう大丈夫だと、そう思ってほしいのです。
I don’t care if it’s as a mage or whatever else.
Learning some kind of skill to support myself is my way of repaying him.
He’s the reason I’m here, and I need him to know I’ll be all right when he’s gone.
🔤 語彙解説
mage /meɪdʒ/(名詞):魔法使い
→ ファンタジー世界で「魔術の専門家」や「高位の魔導士」を表す正式な呼称です。
support /səˈpɔːt/(動詞):支える、養う
→ 経済的・感情的に人や自分自身を助けることを指す広義の動詞です。
repay /rɪˈpeɪ/(動詞):恩返しをする、報いる
→ 誰かの親切・支援に対して、行動や言葉で感謝を返すことを意味します。
whatever /wɒtˈev.ər/(代名詞/形容詞):何であれ
→ 「どんなことでもよい」「制限しない」という柔軟な意味合いを持ちます。
all right /ˌɔːl ˈraɪt/(形容詞):大丈夫である
→ 安否や感情を伝える表現で、「心配いらないよ」という安心感を与えます。
gone /ɡɒn/(形容詞):いなくなった、亡くなった
→ 人や物が消えてしまった状態を指し、死去をやわらかく伝える表現としても用いられます。
🧩 文法・構文解説
I don’t care if it’s as a mage or whatever else.
“don’t care if ~” は「~であろうと気にしない」という定番表現。”as a mage” は職業を表す表現で「魔法使いとして」。”whatever else” は「他の何であっても」という不定表現。
Learning some kind of skill to support myself is my way of repaying him.
“Learning ~” は動名詞で文の主語。”to support myself” は目的を表す不定詞。”my way of repaying him” は「彼に恩返しする私の方法」という構造で “of + 動名詞” に注目。
He’s the reason I’m here
“He’s the reason” は「彼が理由だ」という強調的な構文。”I’m here” は現在形で「私がここにいる(存在している)」ことを表す。
and I need him to know I’ll be all right when he’s gone.
“need + 人 + to 動詞” は「~に…してもらう必要がある」という構文。”I’ll be all right” は「私は大丈夫になる」。”when he’s gone” は未来を指す時の “when + 現在完了” の形で「彼がいなくなったとき」。
I need him to know ~ の中に複数の意味ブロックが含まれており、”I’ll be all right when he’s gone” までが目的語節になっている点も重要。
📘 スラッシュリーディング訳
I don’t care /
私は気にしない
if it’s as a mage /
それが魔法使いであろうと
or whatever else. /
他の何であろうと。
Learning some kind of skill /
何かしらのスキルを学ぶことが
to support myself /
自分自身で生きていくための
is my way of repaying him. /
彼への恩返しなのです。
He’s the reason I’m here, /
彼が、私がここにいる理由です
and I need him to know /
そして私は、彼に知っていてほしい
I’ll be all right /
私は大丈夫だと
when he’s gone. /
彼がいなくなったそのときにも。
セリフ5:間に合った強さ ― フェルンの成長を見届けて
フェルンはどうなりましたか?まだ荒いところはあるけど、一人前といっても遜色のないレベルだよ。そうですか、間に合いましたか。もう足手まといではありませんね、フリーレン。
How’s Fern? Is she growing strong?
She has room to improve in some areas.
But it wouldn’t be incorrect to call her a proper mage.
Excellent. So, she made it in time.
It’ll be hard for you to say she’ll get in your way, now won’t it?
🔤 語彙解説
grow strong /ɡrəʊ strɒŋ/(表現):強くなる、成長する
→ 心身や能力が育っていく過程を表し、努力や時間の経過を含意します。
room to improve /ruːm tuː ɪmˈpruːv/(表現):改善の余地
→ 現状が完璧ではなく、さらに良くなる可能性があることを前向きに示します。
proper /ˈprɒp.ər/(形容詞):きちんとした、正式な
→ 状況や基準にふさわしい状態を表し、礼儀や実力を兼ね備えた意味で使われます。
in time /ɪn taɪm/(表現):間に合って
→ 期限や危機の前にギリギリで間に合う場面で使われる時間表現です。
get in one’s way /ɡet ɪn wʌnz weɪ/(表現):邪魔をする、足を引っ張る
→ 他人の行動や成功の妨げになることを意味し、意図的・無意識の両方に使われます。
won’t it? /wəʊnt ɪt/(表現):〜だろう?(付加疑問)
→ 話し手が同意や確認を求めるときに使い、皮肉や軽い挑発を含む場合もあります。
🧩 文法・構文解説
How’s Fern?
“How is” の短縮形で「フェルンはどう?」というあいさつ的な疑問文。”How” は状態を尋ねている。
Is she growing strong?
“be + 現在分詞” の現在進行形で「今まさに強くなってきているか?」という意味を表す疑問文。
She has room to improve in some areas.
“have room to ~” は「~する余地がある」という表現。”in some areas” は「いくつかの点で」という意味で改善点を和らげて示す。
But it wouldn’t be incorrect to call her a proper mage.
“it wouldn’t be incorrect to ~” は「~と言っても間違いではない」。「call her a proper mage」はSVOC構文で「彼女を一人前の魔法使いと呼ぶ」。
It’ll be hard for you to say she’ll get in your way, now won’t it?
“It’ll be hard to ~” は「~するのは難しい」構文。”won’t it?” は付加疑問で、相手の同意を求める表現。
📘 スラッシュリーディング訳
How’s Fern? /
フェルンはどうなりましたか?
Is she growing strong? /
彼女は強くなってきていますか?
She has room to improve /
改善の余地はあるけれど
in some areas. /
いくつかの点では。
But it wouldn’t be incorrect /
でも間違いではないと思うよ
to call her a proper mage. /
彼女を一人前の魔法使いと呼んでも。
Excellent. /
それはよかった。
So, she made it in time. /
間に合ったのですね。
It’ll be hard for you to say /
あなたも言いにくいでしょう
she’ll get in your way, /
彼女が足手まといになるなんて
now won’t it? /
今となっては、ね?