
あらすじ:英語で読む託された想いと師弟の始まり
Frieren visits Heiter, /
フリーレンはハイターを訪ねる。
a former companion from the hero party, /
かつての勇者パーティーの仲間で、
who now lives quietly in the countryside /
今は田舎で静かに暮らしている
with a young girl named Fern. /
フェルンという少女とともに。
Fern is an orphan /
フェルンは孤児であり、
who was taken in and raised by Heiter /
ハイターに引き取られ育てられた
after losing her parents. /
両親を失ったあとに。
Heiter asks Frieren /
ハイターはフリーレンに頼む。
to take Fern as her apprentice, /
フェルンを弟子にしてくれと。
believing the girl has magical potential /
彼女には魔法の才能があり、
and needs a mentor to guide her. /
導いてくれる師が必要だと信じて。
Frieren is hesitant at first, /
フリーレンは最初、ためらうが、
but after spending time with Fern /
フェルンと時間を過ごすうちに、
and seeing Heiter’s declining health, /
ハイターの体調の悪化を目の当たりにして、
she changes her mind. /
考えを改める。
After Heiter peacefully passes away, /
ハイターが穏やかに亡くなったあと、
Frieren and Fern hold a funeral /
フリーレンとフェルンは葬儀を行い、
and say goodbye to their old friend. /
古き友に別れを告げる。
Together, they set off /
ふたりは一緒に旅に出る。
on a new journey /
新たな旅へ。
not just to explore the world, /
それはただ世界を巡るだけでなく、
but to learn what it means /
「人を知る」とは何かを学ぶための、
to truly connect with others. /
本当のつながりを見つける旅でもある。
💡 語彙解説
orphan /ˈɔːr.fən/(名詞):孤児
→ 両親を亡くし、保護者のいない子どもを指す言葉で、物語では感情的な背景としてよく使われます。
apprentice /əˈpren.tɪs/(名詞):弟子、見習い
→ 技術や知識を学ぶために師匠のもとで修行する立場の人を意味します。
seclusion /sɪˈkluː.ʒən/(名詞):隠遁、隔離された生活
→ 他人との接触を避けて静かに暮らす様子を表し、修道士や隠者などの生活に使われます。
mentor /ˈmen.tɔːr/(名詞):指導者、助言者
→ 知識や経験に基づいて助言や指導を行う立場の人で、教育やフィクションでも一般的な語です。
hesitant /ˈhez.ɪ.tənt/(形容詞):ためらっている、躊躇している
→ 判断や行動に迷いがあり、自信を持って決めきれない心理状態を表します。
decline /dɪˈklaɪn/(動詞):衰える、下り坂になる
→ 能力や状況が徐々に悪化・低下していく過程を指し、経済や体調などに広く使われます。
セリフ1:魔法の基本を学ぶ ― フリーレンの冷静な指導

さっきは途中で魔法が離散してしまったね。魔力の量と、打ち出す力が足りないことを示している。それは一朝一夕でどうにかなることじゃない。
Earlier, your magic dissipated before it reached its target.
That tells me your levels of mana and your firing strength are both lacking.
These are not issues that one can fix overnight.
🔤 語彙解説
dissipate /ˈdɪs.ɪ.peɪt/(動詞):消える、分散する
→ エネルギーや魔法などが消えて広がってしまう様子を表します。
mana /ˈmɑː.nə/(名詞):魔力、精神的エネルギー
→ ファンタジー作品でよく使われる「魔法の源」のことです。
firing /ˈfaɪə.rɪŋ/(名詞):発射、打ち出すこと
→ 銃や魔法などを「打ち出す」行為に使われます。
lacking /ˈlæk.ɪŋ/(形容詞):不足している
→ 必要なものが足りていない状態を意味します。
overnight /ˌəʊ.vəˈnaɪt/(副詞):一晩で、急に
→ 短時間ですぐに、という意味の副詞です。
issue /ˈɪʃ.uː/(名詞):問題、課題
→ 解決が必要なこと、トラブルや課題全般を指します。
🧩 文法・構文解説
That tells me ~
→ 「that」は直前の内容全体を受ける指示語で、「~を私に教える・示す」という主語+動詞+目的語(SVO)の基本構文です。
are both lacking
→ 「both A and B」が主語、「are lacking」が述語で、「両方が~を欠いている」という意味の受動的ニュアンスのある現在進行形表現です。
overnight
→ 直訳は「一晩で」だが、ここでは「急激に・短期間で」という比喩的な副詞用法として使われています。
📘 スラッシュリーディング訳
Earlier, /
さっきは、
your magic dissipated /
あなたの魔法が消えてしまった
before it reached its target. /
それが目標に届く前に。
That tells me /
それは私に教えてくれる
your levels of mana /
あなたの魔力量と
and your firing strength /
打ち出す力が
are both lacking. /
どちらも足りていないということを。
These are not issues /
これらは問題ではない
that one can fix overnight. /
一夜で解決できるような。
セリフ2:焦りの中の決意 ― フェルンの強い想い

それはいずれ必ずできることだ。今は。いずれではダメなのです。いずれでは、ハイター様が死んでしまう。
I have no doubt you’ll achieve it eventually. Right now.
It cannot be “eventually.” Huh?
When “eventually” comes… Master Heiter will have passed away.
🔤 語彙解説
achieve /əˈtʃiːv/(動詞):達成する
→ 努力や困難を乗り越えて目標を成し遂げるときに使われる語です。
eventually /ɪˈven.tʃu.ə.li/(副詞):いずれ、最終的に
→ 長い時間や過程を経た末に何かが起こることを表します。
doubt /daʊt/(名詞):疑い、不安
→ 確信が持てない状態を表し、「no doubt」は強い肯定の意になります。
pass away /pæs əˈweɪ/(表現):亡くなる
→ 「die」の婉曲表現で、丁寧で感情に配慮した言い回しです。
cannot /ˈkæn.ɒt/(助動詞):〜できない、〜してはいけない
→ 能力・許可・論理的な否定などを意味する強い否定の助動詞です。
master /ˈmɑː.stər/(名詞):師匠、先生
→ 専門技能を極めた人への敬称で、武道や魔法の文脈によく使われます。
🧩 文法・構文解説
I have no doubt (that) ~
→ 「no doubt」は名詞句で強い確信を表し、「~を疑っていない」という意味の現在完了形による断定的表現です。
It cannot be ‘eventually.’
→ 「It is ~」を否定形・強調語順で使い、「“いずれ”という考え方自体が許されない」と強い拒否の感情を表現しています。
will have passed away
→ 未来完了形で「その未来時点にはすでに亡くなっている」という、未来から過去を振り返る視点の表現です。
📘 スラッシュリーディング訳
I have no doubt /
私はまったく疑っていない
you’ll achieve it eventually. /
あなたがそれをいずれ達成することを。
Right now. /
今はまだ、だけど。
It cannot be “eventually.” /
「いずれ」ではダメなのです。
Huh? /
えっ?
When “eventually” comes… /
「いずれ」が来たときには…
Master Heiter will have passed away. /
ハイター様はもう亡くなっているのです。
セリフ3:記憶は生きている ― ハイターの静かな願い

私がこのまま死んだら、彼から学んだ勇気や意思や友情や、大切な思い出までこの世からなくなってしまうのではないかと。あなたの中にも大切な思い出があるとすれば、死ぬのはもったいないと思います。
If I sat and died in silence,
all I learned about friendship, strength of will, and courage…
All the precious memories we had made, they would vanish like they had never been.
If there is even one precious memory tucked within the walls of your mind,
then I think it would be a waste for you to die.
🔤 語彙解説
in silence /ɪn ˈsaɪ.ləns/(表現):静かに、沈黙のうちに
→ 音を立てずに物事が進む様子を表し、静寂や内面的な強さを含意する表現です。
strength of will /streŋkθ əv wɪl/(表現):意思の強さ
→ 困難に屈せず耐える内面的な力を意味し、精神的な芯の強さを示します。
vanish /ˈvæn.ɪʃ/(動詞):消える、見えなくなる
→ 一瞬で姿を消す、跡形もなく消滅するという強いニュアンスを持つ語です。
tuck /tʌk/(動詞):しまい込む、押し込む
→ 端を折り込んだり布や物を優しく中に入れるイメージの動詞です。
precious /ˈpreʃ.əs/(形容詞):大切な、かけがえのない
→ 感情的・価値的に非常に重要で、失いたくないものを表します。
waste /weɪst/(名詞):無駄、浪費
→ 時間・資源・努力などが効果を発揮せずに失われることを指します。
🧩 文法・構文解説
It’s true. I can barely detect her presence.
“barely detect” は「かろうじて感知できる」という否定的な副詞+動詞の組み合わせ。”her presence” は「彼女の気配」で、魔力の探知を表す。
Her control over her mana is exceptional.
“control over ~” は「~に対する支配・操作」。”exceptional” は「卓越した」「並外れた」という形容詞で、評価の高さを表す。
How much could she have studied at such a young age?
“could have studied” は完了形を伴う仮定的表現で「どれほど勉強してきたのだろうか」。”at such a young age” は「これほど若い年齢で」。
Master Heiter said, once I’m able to blast a hole in that rock, I’ll be a proper mage.
“once I’m able to ~” は「~できるようになったら」という条件を表す副詞節。”blast a hole” は「穴をあける」という物理的な行動を意味する口語表現。”I’ll be a proper mage” は「一人前の魔法使いになる」と未来の達成目標を表している。
📘 スラッシュリーディング訳
If I sat and died in silence, /
もし私が静かに座って死んだなら、
all I learned about friendship, /
友情について学んだすべて、
strength of will, and courage… /
意思の強さや勇気…
All the precious memories we had made, /
私たちが作ってきた大切な思い出はすべて、
they would vanish /
消えてしまうでしょう
like they had never been. /
まるで最初から存在しなかったかのように。
If there is even one precious memory /
たとえたったひとつでも大切な記憶があるなら、
tucked within the walls of your mind, /
あなたの心の奥にしまわれているなら、
then I think it would be a waste /
それなら私は、もったいないと思います
for you to die. /
あなたが死んでしまうなんて。
セリフ4:恩返しのかたち ― フェルンの自立と感謝

魔法使いでもなんでもいい。今は一人で生きていく術を身につけることが私の恩返しなのです。救ってよかったと、もう大丈夫だと、そう思ってほしいのです。
I don’t care if it’s as a mage or whatever else.
Learning some kind of skill to support myself is my way of repaying him.
He’s the reason I’m here, and I need him to know I’ll be all right when he’s gone.
🔤 語彙解説
mage /meɪdʒ/(名詞):魔法使い
→ ファンタジー世界で「魔術の専門家」や「高位の魔導士」を表す正式な呼称です。
support /səˈpɔːt/(動詞):支える、養う
→ 経済的・感情的に人や自分自身を助けることを指す広義の動詞です。
repay /rɪˈpeɪ/(動詞):恩返しをする、報いる
→ 誰かの親切・支援に対して、行動や言葉で感謝を返すことを意味します。
whatever /wɒtˈev.ər/(代名詞/形容詞):何であれ
→ 「どんなことでもよい」「制限しない」という柔軟な意味合いを持ちます。
all right /ˌɔːl ˈraɪt/(形容詞):大丈夫である
→ 安否や感情を伝える表現で、「心配いらないよ」という安心感を与えます。
gone /ɡɒn/(形容詞):いなくなった、亡くなった
→ 人や物が消えてしまった状態を指し、死去をやわらかく伝える表現としても用いられます。
🧩 文法・構文解説
I don’t care if it’s as a mage or whatever else.
“don’t care if ~” は「~であろうと気にしない」という定番表現。”as a mage” は職業を表す表現で「魔法使いとして」。”whatever else” は「他の何であっても」という不定表現。
Learning some kind of skill to support myself is my way of repaying him.
“Learning ~” は動名詞で文の主語。”to support myself” は目的を表す不定詞。”my way of repaying him” は「彼に恩返しする私の方法」という構造で “of + 動名詞” に注目。
He’s the reason I’m here
“He’s the reason” は「彼が理由だ」という強調的な構文。”I’m here” は現在形で「私がここにいる(存在している)」ことを表す。
and I need him to know I’ll be all right when he’s gone.
“need + 人 + to 動詞” は「~に…してもらう必要がある」という構文。”I’ll be all right” は「私は大丈夫になる」。”when he’s gone” は未来を指す時の “when + 現在完了” の形で「彼がいなくなったとき」。
I need him to know ~ の中に複数の意味ブロックが含まれており、”I’ll be all right when he’s gone” までが目的語節になっている点も重要。
📘 スラッシュリーディング訳
I don’t care /
私は気にしない
if it’s as a mage /
それが魔法使いであろうと
or whatever else. /
他の何であろうと。
Learning some kind of skill /
何かしらのスキルを学ぶことが
to support myself /
自分自身で生きていくための
is my way of repaying him. /
彼への恩返しなのです。
He’s the reason I’m here, /
彼が、私がここにいる理由です
and I need him to know /
そして私は、彼に知っていてほしい
I’ll be all right /
私は大丈夫だと
when he’s gone. /
彼がいなくなったそのときにも。
セリフ5:間に合った強さ ― フェルンの成長を見届けて

フェルンはどうなりましたか?まだ荒いところはあるけど、一人前といっても遜色のないレベルだよ。そうですか、間に合いましたか。もう足手まといではありませんね、フリーレン。
How’s Fern? Is she growing strong?
She has room to improve in some areas.
But it wouldn’t be incorrect to call her a proper mage.
Excellent. So, she made it in time.
It’ll be hard for you to say she’ll get in your way, now won’t it?
🔤 語彙解説
grow strong /ɡrəʊ strɒŋ/(表現):強くなる、成長する
→ 心身や能力が育っていく過程を表し、努力や時間の経過を含意します。
room to improve /ruːm tuː ɪmˈpruːv/(表現):改善の余地
→ 現状が完璧ではなく、さらに良くなる可能性があることを前向きに示します。
proper /ˈprɒp.ər/(形容詞):きちんとした、正式な
→ 状況や基準にふさわしい状態を表し、礼儀や実力を兼ね備えた意味で使われます。
in time /ɪn taɪm/(表現):間に合って
→ 期限や危機の前にギリギリで間に合う場面で使われる時間表現です。
get in one’s way /ɡet ɪn wʌnz weɪ/(表現):邪魔をする、足を引っ張る
→ 他人の行動や成功の妨げになることを意味し、意図的・無意識の両方に使われます。
won’t it? /wəʊnt ɪt/(表現):〜だろう?(付加疑問)
→ 話し手が同意や確認を求めるときに使い、皮肉や軽い挑発を含む場合もあります。
🧩 文法・構文解説
How’s Fern?
“How is” の短縮形で「フェルンはどう?」というあいさつ的な疑問文。”How” は状態を尋ねている。
Is she growing strong?
“be + 現在分詞” の現在進行形で「今まさに強くなってきているか?」という意味を表す疑問文。
She has room to improve in some areas.
“have room to ~” は「~する余地がある」という表現。”in some areas” は「いくつかの点で」という意味で改善点を和らげて示す。
But it wouldn’t be incorrect to call her a proper mage.
“it wouldn’t be incorrect to ~” は「~と言っても間違いではない」。「call her a proper mage」はSVOC構文で「彼女を一人前の魔法使いと呼ぶ」。
It’ll be hard for you to say she’ll get in your way, now won’t it?
“It’ll be hard to ~” は「~するのは難しい」構文。”won’t it?” は付加疑問で、相手の同意を求める表現。
📘 スラッシュリーディング訳
How’s Fern? /
フェルンはどうなりましたか?
Is she growing strong? /
彼女は強くなってきていますか?
She has room to improve /
改善の余地はあるけれど
in some areas. /
いくつかの点では。
But it wouldn’t be incorrect /
でも間違いではないと思うよ
to call her a proper mage. /
彼女を一人前の魔法使いと呼んでも。
Excellent. /
それはよかった。
So, she made it in time. /
間に合ったのですね。
It’ll be hard for you to say /
あなたも言いにくいでしょう
she’ll get in your way, /
彼女が足手まといになるなんて
now won’t it? /
今となっては、ね?
セリフ6:魔法への想い ― 似ているようで違う二人

フリーレン様は、本当に魔法がお好きなのですね。ほどほどだよ。フェルンと同じで。少し違うような気がします。同じだよ。
It sounds to me like you really do love magic, Mistress Frieren.
Only somewhat.
The same as you.
I, uh, feel we’re a bit different.
We’re the same.
🔤 語彙解説
sound /saʊnd/(動詞):〜のように聞こえる
→ 相手の言葉や状況を受けて、印象や判断を述べるときに使う感覚動詞です。
somewhat /ˈsʌm.wɒt/(副詞):少し、いくらか
→ 程度をぼかして表現する語で、控えめな表現や遠回しな言い方に適しています。
the same as /ðə seɪm æz/(表現):〜と同じ
→ 2つのものが本質的に等しいことを伝える比較の表現です。
uh /ʌ/(間投詞):えーと
→ 話の途中で間を取ったり、言いよどむときに使われる自然なつなぎ言葉です。
a bit /ə bɪt/(副詞句):少し
→ 「somewhat」より口語的で、くだけた場面で気軽に使われます。
different /ˈdɪf.ər.ənt/(形容詞):違う、異なる
→ 対比や独自性を表す語で、「from」を伴って他と異なることを強調します。
🧩 文法・構文解説
It sounds to me like you really do love magic, Mistress Frieren.
“It sounds like ~” は「~のように聞こえる」という構文。”do love” は強調のための助動詞 “do” を用いた肯定文で、「本当に好きなんだね」というニュアンスを出している。
Only somewhat.
“somewhat” は「いくぶん、少し」という意味の副詞で、”Only somewhat.” 全体で「まあ少しだけね」という控えめな肯定。
The same as you.
“the same as ~” は「~と同じ」という比較構文で、「あなたと同じだよ」と対等性を示す。
I, uh, feel we’re a bit different.
“uh” はためらいや言いよどみを示す間投詞。”I feel (that) we’re a bit different.” で「私たちは少し違うと思う」の意。”a bit different” は婉曲表現でやや違うと和らげて言っている。
We’re the same.
“We’re” は “we are” の短縮形で、”the same” が補語となって「私たちは同じだ」と断言している。
📘 スラッシュリーディング訳
It sounds to me /
私にはそう聞こえます
like you really do love magic, /
あなたが本当に魔法を愛しているように
Mistress Frieren. /
フリーレン様。
Only somewhat. /
まあ、少しだけね。
The same as you. /
フェルンと同じだよ。
I, uh, feel /
私は、えーと、思います
we’re a bit different. /
私たちはちょっと違うような気がします。
We’re the same. /
同じだよ。
セリフ7:風化する英雄 ― 忘れられたヒンメル像

勇者ヒンメル様の像ですか?ひどい有様でしょ。年寄り一人では、もうどうしようもなくてね。村の人たちはもう関心がないのよ。
A statue of Himmel the Hero.
The poor boy is in terrible shape.
I would clean him myself, but it’s too much for one old lady.
And I can’t convince the other villagers to care.
🔤 語彙解説
statue /ˈstætʃ.uː/(名詞):像、彫像
→ 石や金属などで作られた人や動物の立体的な造形物を指します。
terrible shape /ˈter.ə.bəl ʃeɪp/(表現):ひどい状態
→ 見た目や状態がひどく劣化・損傷しているさまを意味します。
clean /kliːn/(動詞):掃除する、きれいにする
→ 汚れを除去して整える動作で、対象を丁寧に扱うニュアンスも含みます。
too much /tuː mʌtʃ/(形容詞句):手に負えない、多すぎる
→ 負担や量が限界を超えており、自分では対応できないことを表します。
convince /kənˈvɪns/(動詞):納得させる、説得する
→ 相手に理解・共感させて、行動や考え方を変えるよう導くことを指します。
care /keər/(動詞):気にかける、関心を持つ
→ 物事や人に対して思いやりや注意を払う気持ちを示す動詞です。
🧩 文法・構文解説
A statue of Himmel the Hero.
“of Himmel the Hero” は「勇者ヒンメルの」と所有を示す前置詞句。”A statue of ~” で「~の像」という意味。
The poor boy is in terrible shape.
“poor boy” は像に対する親しみを込めた比喩表現。”in terrible shape” は「ひどい状態である」という定番のイディオム。
I would clean him myself, but it’s too much for one old lady.
“would” は仮定の気持ちを表す助動詞で「やるつもりはあるが実際にはできない」ことを示す。”too much for ~” で「~には荷が重すぎる」。
And I can’t convince the other villagers to care.
“convince A to 動詞” で「Aを説得して~させる」構文。”care” は「関心を持つ」という意味の動詞で、「気にかける」というニュアンス。
📘 スラッシュリーディング訳
A statue of Himmel the Hero. /
勇者ヒンメル様の像ですか?
The poor boy /
かわいそうな彼は
is in terrible shape. /
ひどい状態なんですよ。
I would clean him myself, /
私が自分で掃除してあげたいけど
but it’s too much for one old lady. /
おばあさん一人には大変すぎてね。
And I can’t convince /
それに私は説得できないのよ
the other villagers to care. /
村の人たちに関心を持たせることを。
セリフ8:探求か、執着か ― フリーレンへの苦言

フリーレン様の魔法に対する執着は異常です。このままでは何年でも何十年でも探し続けてしまう。フリーレン様は多くの人を救える力を持った魔法使いです。ありもしないもののために時間を使うだなんて、あってはならないことです。
She’s so quick to fixate on anything relating to magic.
By the looks of it, she’s going to continue this hunt for years, if not decades.
Given her strength as a mage, she has the power to save whole cities of people.
She shouldn’t spend her time looking for something so tiny.
Something that may not exist.
🔤 語彙解説
fixate /ˈfɪk.seɪt/(動詞):執着する、固執する
→ 何かに強く心を奪われて、思考や感情がそこから離れられない状態を表します。
by the looks of it /baɪ ðə lʊks əv ɪt/(表現):見たところでは
→ 目に見える様子や雰囲気から判断して推測するカジュアルな表現です。
hunt /hʌnt/(名詞):探求、捜索
→ 欲しいものや答えを得るために熱心に探し求める行動を指します。
given /ˈɡɪv.ən/(前置詞):〜を考慮すれば、〜を前提にすると
→ 前提条件や状況を提示して文全体の論理を補強する接続的な前置詞です。
spend time doing /spɛnd taɪm ˈduː.ɪŋ/(表現):〜することに時間を使う
→ 「spend+時間+動名詞」で、特定の行動に時間を費やす表現を作ります。
tiny /ˈtaɪ.ni/(形容詞):とても小さい、些細な
→ 肉眼で見えるサイズだけでなく、重要性の低さを含めて使われる形容詞です。
🧩 文法・構文解説
She’s so quick to fixate on anything relating to magic.
“be quick to 動詞” は「すぐに~する傾向がある」という意味。”fixate on” は「~に執着する」口語表現で、”relating to magic” は現在分詞の形容詞句として “anything” を修飾している。
By the looks of it, she’s going to continue this hunt for years, if not decades.
“By the looks of it” は「見たところ」という口語表現。”be going to 動詞” は未来の予定や確信を示す。”if not decades” は「何十年とは言わないまでも」のような婉曲表現。
Given her strength as a mage, she has the power to save whole cities of people.
“Given ~” は前置詞で「~を考慮すると」という意味。”whole cities of people” は「まるごとの都市規模の人々」、つまり非常に多くの人を強調する構文。
She shouldn’t spend her time looking for something so tiny.
“shouldn’t spend 時間 動詞ing” は「~するのに時間を使うべきではない」という構文。”so tiny” は「とても小さな」ものを強調し、非現実的で無駄に感じる対象を示す。
Something that may not exist.
“that may not exist” は関係詞節で “Something” を修飾。「存在しないかもしれない何か」という意味で、不確かな対象を強く暗示している。
📘 スラッシュリーディング訳
She’s so quick /
彼女はとてもすぐに
to fixate on anything /
何かに執着してしまう
relating to magic. /
魔法に関係することなら何でも。
By the looks of it, /
見たところでは
she’s going to continue this hunt /
彼女はこの探求を続けるでしょう
for years, if not decades. /
何年も、いや何十年にもわたって。
Given her strength as a mage, /
彼女の魔法使いとしての強さを考えると、
she has the power /
彼女には力がある
to save whole cities of people. /
まるごと都市を救うほどの。
She shouldn’t spend her time /
彼女は時間を費やすべきではない
looking for something so tiny. /
そんなに些細なものを探すために。
Something that may not exist. /
それは、存在しないかもしれないのに。
セリフ9:いつか君に ― 軽口と本音のあいだで

僕の故郷の花でね。とても美しいんだ、まあ僕ほどではないんだけどね。そろそろ行こうか。フリーレン、いつか君に見せてあげたい。そう、機会があればね。
A flower grown in my homeland.
They’re truly beautiful. To be fair, they grow pretty heroes, too.
Shall we get going, then?
Frieren. I’d like to show you them someday.
Sure. If the chance arises.
🔤 語彙解説
homeland /ˈhəʊm.lænd/(名詞):故郷、母国
→ 自分が生まれ育った土地や、精神的に深い結びつきを感じる場所を意味します。
to be fair /tə bi ˈfeər/(表現):公平に言えば、まあ確かに
→ 厳しい意見や皮肉の直前・直後に入れて、相手への配慮やバランスを取る口語表現です。
get going /ɡet ˈɡəʊ.ɪŋ/(表現):出発する、行動を始める
→ 状況を切り替えて動き出すことを促すカジュアルな決まり文句です。
show /ʃəʊ/(動詞):見せる、案内する
→ 情報や対象を相手に提示したり、場所などを案内する意味でもよく使われます。
someday /ˈsʌm.deɪ/(副詞):いつか、将来のいつか
→ 時期がはっきりしていない未来のある日をやわらかく指す表現です。
arise /əˈraɪz/(動詞):(機会・問題などが)生じる、起こる
→ 計画的でなく自然発生的に出来事や課題が現れるときに使われるフォーマルな語です。
🧩 文法・構文解説
A flower grown in my homeland.
“grown in my homeland” は過去分詞による後置修飾で、「故郷で育った花」という意味。”A flower” に対して過去分詞が形容詞的に説明を加えている。
They’re truly beautiful. To be fair, they grow pretty heroes, too.
“To be fair” は「公平に言えば」という挿入句。”they grow” の主語 “they” は homeland を指し、”grow” は「育てる」という意味で比喩的に「イケメンも生まれる」と続くジョーク表現になっている。
Shall we get going, then?
“Shall we ~?” は提案の疑問文で「~しようか?」という丁寧な誘い。”get going” は「出発する」「動き始める」という意味の口語表現。
Frieren. I’d like to show you them someday.
“I’d like to 動詞” は「~したい」という丁寧な意志表現。”them” は前の “flowers” を指し、”show 人 物” の構文で「君にそれらを見せたい」。
Sure. If the chance arises.
“if the chance arises” は「機会があれば」という仮定の条件文。”arise” は「(機会などが)生じる」という意味で、未来を含意する柔らかな言い回し。
📘 スラッシュリーディング訳
A flower grown /
育てられた花だよ
in my homeland. /
僕の故郷で。
They’re truly beautiful. /
本当に美しいんだ。
To be fair, /
まあ正直に言えば、
they grow pretty heroes, too. /
かっこいい英雄も育つけどね。
Shall we get going, then? /
じゃあ、そろそろ行こうか。
Frieren. /
フリーレン。
I’d like to show you them someday. /
いつか君にその花を見せたいな。
Sure. /
そうね。
If the chance arises. /
機会があれば、だけど。
セリフ10:選んだのは魔法 ― フェルンの本心

フェルンだって魔法使いになることを諦めなかった。それは違います。私は一人で生きていける力さえ手に入れば、何でもよかったのです。別に魔法でなくたって。でも、魔法を選んだ。
Becoming a mage was a challenge, but you never once wanted to give up.
That’s very different.
I could have learned any other skill that allowed me to support myself and been just as content.
It didn’t have to be magic.
No. But it’s what you chose.
🔤 語彙解説
challenge /ˈtʃæl.ɪndʒ/(名詞):困難、挑戦
→ 乗り越えるのが難しい課題や、努力・工夫を必要とする試練を指します。
give up /ɡɪv ʌp/(表現):あきらめる
→ 続けていた行動や目標を断念し、放棄することを意味する句動詞です。
support /səˈpɔːt/(動詞):支える、生活を維持する
→ 他者または自分自身を精神的・経済的に助け、安定させる行動を表します。
content /kənˈtent/(形容詞):満足している
→ 現状に大きな不満がなく、穏やかで内面的な充足感を持っている状態です。
have to /ˈhæv tuː/(助動詞):〜でなければならない
→ 外的な義務や状況からの必然性を示し、否定文では不要だったことを意味します。
chose /tʃəʊz/(動詞):選んだ(chooseの過去形)
→ 複数ある選択肢の中から1つを自ら決定した過去の行為を表します。
🧩 文法・構文解説
Becoming a mage was a challenge, but you never once wanted to give up.
動名詞 “Becoming” が主語となり、「魔法使いになることは困難だった」という文を導いている。
That’s very different.
“That’s” は “That is” の短縮形で、直前の内容全体(諦めなかった理由)を受けて「それは全然違う」と述べている。
I could have learned any other skill that allowed me to support myself and been just as content.
仮定法過去完了+省略形。”could have learned” は「~できたのに」を意味し、”and been” は “could have been” の省略。前半にあわせた形で並列になっている。
It didn’t have to be magic.
“have to” の否定過去形で「魔法である必要はなかった」という意味。仮定的な文脈を持っており、実際には魔法を選んだことを示唆している。
No. But it’s what you chose.
“what you chose” は名詞節で、「あなたが選んだもの」という意味。強調構文的に使われており、”it”(魔法)を再確認している。
📘 スラッシュリーディング訳
Becoming a mage /
魔法使いになることは
was a challenge, /
大きな挑戦だったけど
but you never once wanted to give up. /
君は一度も諦めようとは思わなかった。
That’s very different. /
それは違います。
I could have learned /
私は学ぶこともできました
any other skill /
ほかのどんなスキルでも
that allowed me to support myself /
自立できるようなものなら
and been just as content. /
そして同じように満足できたはずです。
It didn’t have to be magic. /
別に魔法である必要はなかった。
No. /
そうだね。
But it’s what you chose. /
でも、それを選んだのは君自身だ。
まとめ:別れを超えて――新たな旅立ちの理由
Fern trains hard under Frieren’s guidance, /
フェルンはフリーレンの指導のもとで /
growing stronger as both a mage and a person. /
魔法使いとしても人としても成長していく。
Heiter, /
ハイターは /
aware of his limited time, /
自分に残された時間が少ないことを知っていた。
asks Frieren to raise Fern, /
フェルンを育ててほしいとフリーレンに頼む。
believing she needs someone to guide her. /
彼女には導いてくれる存在が必要だと信じて。
Despite her initial hesitation, /
最初はためらっていたが、
Frieren agrees and accepts Fern as her apprentice. /
フリーレンはフェルンを弟子として受け入れる。
As Heiter quietly passes away, /
ハイターは静かに息を引き取り、
Fern proves she has grown strong in time. /
フェルンは十分に成長できたことを証明する。
Their journey continues, /
彼女たちの旅は続く。
not only to master magic, /
それは魔法を極めるためだけでなく、
but to understand life, /
人生を知り、
memory, and what it means to choose. /
記憶や「選ぶ」ということの意味を知るためでもある。
🧠 Key Words & Phrases(重要語句)
guidance /ˈɡaɪ.dəns/(名詞):指導、導き
→ 経験や知識のある人が、初心者や未熟な者に助言や進むべき方向を示す行為です。
apprentice /əˈpren.tɪs/(名詞):弟子、見習い
→ 熟練者のもとで実地に学びながら技術や知識を習得する立場の人を指します。
hesitant /ˈhez.ɪ.tənt/(形容詞):ためらっている、迷っている
→ 行動や決断に自信が持てず、躊躇している様子をやわらかく表す語です。
fixate /ˈfɪk.seɪt/(動詞):執着する
→ ある対象に強く心をとらわれ、他のことが見えなくなる精神的状態を表します。
support myself /səˈpɔːt maɪˈself/(表現):自活する、自立する
→ 経済的・生活的に他人に頼らず、自分の力で生活を成り立たせることを指します。
content /kənˈtent/(形容詞):満足している、納得している
→ 現状に大きな不満がなく、静かで内面的な充足感に満たされている様子です。
vanish /ˈvæn.ɪʃ/(動詞):消える、消滅する
→ 視界や存在から完全に姿を消すことで、記憶や感情の比喩としても使われます。